症例集   「首こり」 くびこり
首こり くびこり
 当院には多種多様な症状の患者さんが来院されます。したがって整形外科・内科・小児科・耳鼻科・眼科・産婦人科・そして心療内科や精神科などあらゆる診療科目の知識が求められます。鍼灸医や漢方医の中には東洋医学だけの参考書を読んでいる人もいたり、東洋医学にはすっかり見切りをつけてしまい西洋医学の本だけを読んでいる人もいるようです。時間があるとき、西洋医学書や東洋医学書を読み漁るのはかなり大変です。それでもできるだけ参考書を読んで、患者さんからの質問に答えられるように、治療成績を上げられるように努力したいと思っております。
 当治療院は開業して35年が経過しました。ホームページで健康情報を発信するようになって10年以上になります。鍼灸治療は12経絡を調整し、その後症状に応じた治療を行います。コラムを読んでいる人はお気づきかもしれませんが、私はいろいろな症状に対して首や肩のこりをとる鍼やマッサージをしています。そうです。私は自律神経失調症や不定愁訴、うつ病やパニック障害、頭痛や不眠症、眼精疲労や耳鳴りなど、多種多様な症状の原因に首や肩のこりが関係していると考えています。

■UKさん 48歳 女性 主婦
 夜眠れなくなり内科に行ったところ、睡眠薬を投与された軽い睡眠薬といわれ続けているが、このまま続けていいのかと不安になる。内科で相談したら癖になる薬ではないので心配はいらないといわれた。もう半年ほど飲んでいるが、たまに飲み忘れるとやはり眠れなくなってしまう。癖になるような薬ではないとしても、いつかは止めたいと思いながら眠れなくなるのは怖い。たまたま近所の人にその話をしたら当院を紹介されたそうです。
 最近の睡眠薬は以前とは違い身体に優しいと聞きます。どのように優しいのかなどよくは分かりませんが、薬を減らしたり止めたりするタイミングなど医師が適切にアドバイスをすることで身体に負担をかけずに睡眠コントロールができるのだと思います。しかし、現実には医師が適切なアドバイスを行っているケースはまだまだ少なく、知り合いに止めたほうがいいと言われて急に止めて眠れなくなったり、数十年も同じ薬を使い続けたりしているようです。
 UKさんの治療はまず脈を診て12経絡の調整をすることから始めました。そしてやはり首のひどいこりの除去です。最初は少し触れるだけで痛みを感じるほどでした。鍼をすると重いような響きが頭から肩甲骨の裏側まで広がります。初日は軽い鍼と触れるか触れないかというほどの優しいマッサージで終了しました。
薬の量については医師に相談することとし、できれば半量にしたいと伝えてみるようにアドバイスしました。初日の治療で少しですが睡眠が深くなったような気がするとの連絡をいただきました。週に2回のペースで4回ほど受診していただき、少しずつ眠りが深くなるのを実感できたようです。その後は週に1回の治療に切り替えました。睡眠薬は1か月分処方されていたようですが、眠りが深くなってきたこともあり、その後は睡眠薬の使用を止めているとのことです。日によって眠れないこともあるようですが、今日眠れなくても明日眠れればいいと気楽に考えられるようになったそうです。首こりは大分良くなってきましたが、2週間に1回、3週間に1回と間隔をあけるようにし、最終的には月に1回のペースで来院するようにと考えています。

■SHさん 56歳 女性 主婦
 半年ほど前から耳鳴りが続いていて、最近その音が大きくなったような気がするということで、ホームページを見て来院。耳鼻科や脳神経外科で検査をしたが特に異常が見つからないということで血流改善薬と精神安定剤を投与してもらっていたが、1週間ほど前から耳鳴りの音が大きくなってしまい、夜も眠れなくなったので軽い睡眠薬をプラスしてもらったとのこと。最近は耳鳴りが気になって趣味の社交ダンスにも行けなくなってしまったとのことです。耳鼻科では気にしすぎだと言われたそうですが、本人は耳鳴りさえ治れば社交ダンスにも行けるし、やりたいことがいっぱいあるのに、半年も通院しても治らないし、人の心を逆なでするような言い方をする耳鼻科の医師には不信感を抱いているようでした。
 身体に触れると脚のむくみと足先の冷えが気になりました。脈診では明らかな腎虚でした。とにかく時間をかけて脈を調整し、むくみを取り去る治療をしました。その後耳の血流改善を目的に首から肩にかけての鍼とマッサージを行いました。SHさんの首もまるで棒が2本入っているようにかちかちでした。触れるとひどく痛がります。初日の治療は鍼もマッサージもとにかくそうっとそうっと行いました。
 週に2回のペースで6回目のときに耳鳴りがほとんど気にならなくなったと言われました。首こりもかなり良くなり、その後週に1回の治療を4回行い2週間に1回、3週間に1回と間隔をあけるようにし、今は月に1回定期的に来院しておられます。

■KSさん 48歳 男性 システムエンジニア
 ・朝起きたときからすでに疲労感がある。
 ・眼がしょぼしょぼして視力が落ちているような気がする。
 ・午後になると頭が重く感じたり、ときには軽い頭痛がする。
 ・休みの日にはゴロゴロしていることが多く、もったいないなあと思いながらもどこにも出かける気がしない。
 通勤時間が長く、睡眠時間は5時間程度とのことで、内科では少し仕事を休んでゆっくりするように言われ、3種類の薬が処方されているが、ぜんぜん変化がないということで知り合いに勧められての来院でした。
 医療機関ではよく無責任に「少しお休みをとりましょう」と言いますが、小さな会社などではそれは仕事を失うことにもなりかねません。
 まず、いつものように脈診による治療を行いました。1回目の治療ではなかなか良い脈にまでたどり着けなかったのですが、とにかくいつものように首や肩を診察しました。首も肩もまるで鉄板でできているようにかちかちです。これでは睡眠の質が悪いのもうなずけます。
 目がしょぼしょぼするのも当然です。とにかく首を中心にかなり時間をかけて鍼とマッサージを行いました。こういう方の場合最初からあまり深い鍼や強いマッサージはできません。一時的ですがこりが悪化することもあるからです。とにかく初日は優しく行いました。できれば最初だけは週に2回の治療が望ましかったのですが、仕事のこともあり週1回の治療を数ヶ月続けました。KSさんの希望で現在は隔週で来院しておられます。

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