症例集   「眼精疲労」 がんせいひろう
眼精疲労 がんせいひろう
  仕事で長時間パソコンに向かっていたり、ネットゲームなどで目の疲れを訴える人が増加しています。長時間歩くと足が疲れるように、ディスプレイを長時間見続けると目の筋肉も疲れてしまうのです。これがいわゆる VDT(Visual Display Terminal)症候群と言われるもので、別名テクノストレス眼症とも呼ばれています。
 単なる目の疲労は睡眠や休憩で回復しますが、眼精疲労では、睡眠や休憩をとっても回復せず、目の痛みやかすみが続いたり、頭痛や肩こり、ひどくなると吐き気やめまいに悩まされることもあります。最近ではスマートフォンの普及により、子どもたちが長時間ゲームで遊ぶことも多くなり、眼精疲労による視力の低下が問題になっています。
 また、VDT症候群では、視線がディスプレイ、キーボード、書類の間をひんぱんに移動したり、画面を集中して見続けることで、瞬きの回数が極端に少なくなるため、ドライアイになってしまいます。ディスプレイの位置が高すぎると、目線が上向きになり、目を大きく見開くことになるので、涙液が蒸発しやすく、目が乾きやすくなるのです。
 眼精疲労の原因はVDTだけではありません。電車の中の読書、寝る前の読書、そして、強い光や音も大きなストレスになり、眼精疲労を引き起こしてしまいます。
 眼精疲労になると、とにかく、目が疲れたと感じます。次に、目の痛み、充血、目のかすみ、視力の低下などが起こります。目以外の症状としては、頭痛、肩こり、吐き気、めまいなどの全身症状に悩まされ、進行すると、イライラや不安感、抑うつといった症状へ発展することもあり、さらに進むと睡眠障害やうつ病になってしまうこともあるのです。

■KNさん 男性 48歳 SE
 最初は目が疲れると感じていて、眼科で目薬を処方してもらった。ところがそのうちに頭痛がするようになり、寝つきが悪かったり眠りが浅くなった。気持ちも落ち込むようになり、もしかして自分はうつ病なのではと思って知り合いに相談したら当院を紹介してくれたとのこと。
 眼精疲労は悪化すると目だけではなくいろいろな不定愁訴に悩まされる人が多いようです。心も身体も元気を無くしてしまい、うつ病と診断される人もいます。しかしこれはうつ病や自律神経失調症というより、目が疲れてしまい、首や肩がぱんぱんにこっているからと私は考えます。
 KNさんの場合も首から肩、肩甲骨付近がひどくこっていました。まず脈を診て調節していきました。これは乱れた自律神経を整えるために欠かすことのできない治療です。それから目の周りやこめかみの軽いマッサージを行い、首から肩、肩甲骨付近のこりを取り去る目的で鍼をし、時間をかけて丁寧にマッサージしました。最初のマッサージはかなり痛かったようです。特に力を入れたわけではないのですが、触るだけでかなりの痛みを感じるようでした。
 1日目は帰宅後身体がだるく無性に眠たくなったとのことで、久しぶりに思いきり眠ることができたようです。
 その後週2回の通院を続け、1ヶ月ほどで見違えるほど元気になりました。今は隔週で通院しています。
 眼精疲労が悪化するといろいろな不定愁訴が現れます。頭痛・めまい・吐き気・耳鳴り・食欲不振・全身疲労・睡眠障害・抑うつ感などなど。こうなると薬の数がどんどん増えてしまいます。しかし眼精疲労が治っていないのですからどんな薬を飲んでもどうすることもできません。それどころか薬の副作用のための薬が処方されることになります。とにかく首から肩、肩甲骨付近のこりを丁寧に取り去ることがもっとも効果的な治療なのです。

■眼精疲労の予防
 パソコン作業では、モニターが目線に対して下側になるように設置しましょう。また、1時間に10分くらいの休憩をとるように心がけましょう。ドライアイの症状のある人には、市販の涙液の目薬も有効ですし、温シップや、冷シップもかなり効果が期待できます。また、目を蒸しタオルなどで温め、こめかみや目の周囲の軽いマッサージをしてみることもよいでしょう。全身症状に対しては、自律神経のバランスを崩していることが多いので、散歩やゆっくり入浴をするなど自分なりのリラックス法を見つけましょう。

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