症例集   「VDT症候群」 ぶい・でぃー・てぃーしょうこうぐん
VDT症候群 ぶい・でぃー・てぃーしょうこうぐん
 仕事で長時間パソコンに向かっていたり、テレビゲームなどで目の疲れを訴える人が増加しています。長時間歩くと足が疲れるように、ディスプレイを長時間見続けると目の筋肉も疲れてしまうのです。これがいわゆるVDT(Visual Display Terminal)症候群と言われるもので、別名テクノストレス眼症とも呼ばれています。
 単なる目の疲労は睡眠や休憩で回復しますが、目を酷使したために起きた眼精疲労では、睡眠や休憩をとっても回復せず、目の痛みやかすみが続いたり、頭痛や肩こり、ひどくなると吐き気やめまいに悩まされることもあります。
 また、VDT症候群では、視線がディスプレイ、キーボード、書類の間をひんぱんに移動したり、画面を集中して見続けることで、瞬きの回数が極端に少なくなるため、ドライアイになってしまう人が増えています。ディスプレイの位置が高すぎると、目線が上向きになり、目を大きく見開くことになるので、涙液が蒸発しやすく、目が乾きやすくなるのです。

■KYさん 45歳 男性 IT企業勤務
 数年ほど前から目の疲れがひどくなり、午後になると毎日のように頭痛が起きるようになった。心配になって頭のMRIを撮ったが特に異常は見つからず、頭痛薬と筋弛緩剤を投与された。薬を飲むと少しは楽になるが、このまま毎日薬を飲み続けていていいのかと不安になっっているうちにめまいや耳鳴りもするようになり、耳鼻科で検査を受けたがやはり問題は見つからずに数種類の薬が投与された。精神的にも落ち込むようになり、心療内科を受診しようかと考えていたときに同じような症状で鍼灸治療を受けている友人に進められて当院を受信されたそうです。
 KYさんの症状は眼精疲労、頭痛、耳鳴り、めまい、食欲不振、気分がふさぎこむなど多種多様でした。KYさんは1日中パソコンに向かって目を酷使しており、眼精疲労から自律神経のバランスを崩してしまい、多種多様な症状が出現していると考えられます。
 まず手首の脈診により12経絡のバランスをとる鍼を行いました。その後首から肩背中にかけての鍼とマッサージをして1回目の治療を終了しました。鍼灸やマッサージの優れた点は、1回の治療で一時的にしろ楽になるということです。KYさんも帰りはとても良い気分になったと話していました。
 3日後に来院されたときのお話では、治療した日は早めに就寝されたそうで、久しぶりにぐっすり眠れたと喜んでおられました。その後しばらく週に1回の通院をしていただき、現在は隔週で通院しております。薬を飲むことはなくなり、KYさんの場合は隔週での通院がちょうどよいようです。

■SKさん 48歳 男性 医療事務
 最初目がごろごろするような感じがし、そのうちに光がまぶしく感じるようになり、夕方になると目を開けているのが辛いほどになって眼科に行ったところドライアイと診断され目薬を処方された。そのうちに頭痛がひどくなり、疲れているはずなのに眠れなくなり、眼科でVDT症候群と言われて目薬と頭痛薬がプラスされた。インターネットでいろいろ調べていて当院を見つけたとのこと。とにかく1日も早く楽になりたいと話されました。
 SKさんの場合も脈を診て12経絡のバランスを整えることから始めました。その後ドライアイと眼精疲労を治す目的で首から肩にかけての鍼とマッサージを行いました。 眼が乾いたからとすぐに目薬を使ったり、ゴロゴロするからと洗眼することは涙が持つ本来の力を阻害しているともいわれています。蒸しタオルで温めたり、眼の周りのツボを自分の指で押すなどして涙の量を増やすようにと話しました。SKさんも隔週で通院を継続中です。

■VDT症候群による眼精疲労の予防
 パソコン作業では、モニターが目線に対して下側になるように設置し、涙の蒸発と眼の乾燥を防ぎましょう。また、1時間に10分くらいの休憩をとり目を酷使しないことが重要です。ドライアイの症状のある人には、市販の涙液の目薬も有効ですし、温シップや、冷シップもかなり効果が期待できます。目を蒸しタオルなどで温め、こめかみや目の周囲の軽いマッサージをしてみることもよいでしょう。全身症状に対しては、自律神経のバランスを崩していることが多いので、散歩やゆっくり入浴をするなど自分なりのリラックス法を見つけましょう。

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