症例集   「生理通(月経痛)」 せいりつう げっけいつう
生理痛(月経痛) せいりつう げっけいつう
 当院は私が女性であるということで、不妊治療や月経に悩む患者さんが多く訪れます。生理痛のために毎月学校や仕事を休んだり、職場の同僚の無理解な言葉に傷ついたりと身体も心もぼろぼろになってしまいます。ずっと消炎鎮痛剤を飲んでいる人も多く、その副作用も気になるところです。生理痛がひどい場合、とにかくその理由を知る必要があります。子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮後屈など何らかの異常が見つかることもあり、その場合は鍼灸治療と同時に西洋医学的治療を受けることをお勧めします。

■TYさん 女性 42歳 会社員
 生理痛が強く、月経量も多く診断の結果、子宮内膜症と筋腫があることが分かった。筋腫の大きさもそれほどではないとのことで、とりあえず服薬治療を開始して半年が経つということでした。最初のころの耐え難い痛みはかなり楽になったものの、生理二日目はかなり痛みがあるとのことで、友人に付き添われて来院しました。症状としては、生理直後から二日目あたりの下腹部と腰の強い痛み、吐き気と頭痛、そして便秘がち、常に疲労感がとれないとのことでした。
 TYさんはフルタイムで働いており、会社での人間関係の悩みなどかなり疲労が蓄積されてると感じました。下腹部の冷えが強く、腹部全体が硬く緊張しているようでした。また、会社でも家でも気が休まることがなく、常に交感神経が課緊張状態になっているようで、これでは身体のどこが病気になっても不思議ではないと感じました。
 まず、脈診をして時間をかけて調整しました。その後下腹部の冷えを取り去ることで子宮や卵巣の血液循環を促すことを目的に鍼を行いました。TYさんの場合はとにかく汚血を排出させる必要がありました。その後全身の疲労に対する鍼治療で1回目を終了しました。自宅でお灸をしてもらうことにし、しばらくは週1回の治療を続けることとしました。2度目の来院のときの問診で、最初の月経が治療後数日だったとのことですが、気のせいか少し痛みが楽だったようだと言われました。2度目の月経時には、真っ黒な血の塊が出て、なにやら身体全体がすっきりと軽くなったような気がしたそうです。その後半年ほど治療を続け、多少腰や下腹部に違和感があることもあるが、ほとんど気にならなくなったとのことで終了しました。

■UKさん 38歳 女性 主婦
 最初の来院のとき、とにかく全く活気がないと感じました。問診をしても声も小さく、質問に対してもなにやら要領が得ないようで、とにかく生理のときにいつもお腹が痛いと言います。
 腹部を診察すると、あまり食事をとっていないようで、皮膚が余ってるというか、全体が冷たく力のない感じでした。脈は速く、汗ばんでいて、虚弱体質です。家では身体がだるく何もしたくないとのことで、1日中ごろごろして過ごしているとのことでした。
 UKさんにはとにかく気を補う治療が必要です。手足のツボに軽い刺鍼で補の治療を行いました。その後腹部と腰部の治療を時間をかけて行い終了しました。自宅での灸は本人が怖いということでとりあえず行わないことにしました。週2回の治療を3ヶ月ほど続けたところ、生理痛も楽になり、何より食欲が出て元気になってきたとのことで、その後は週1回の治療を3ヶ月ほど続け、現在は隔週で来院しておられます。
 UKさんは油断をするとすぐに体調を崩してしまいます。眠れない日が数ヶ月続いてみたり、下痢と便秘を繰り返してみたり、かぜのような症状がとれなかったりです。ようするに不定愁訴を訴えておられるわけです。生理痛もその1つだと考えられます。UKさんには今後その隔週で鍼灸を行い、不定愁訴と上手に付き合って欲しいと思います。
 近頃の女性は「冷え」に悩まされています。冷えは生理痛の原因になるばかりではなく、昔から身体を冷やすことが万病の原因と言われているのです。クーラーを控えめにしたり、ガードルなどで下腹部を締め付けすぎないように気をつけましょう。「冷え性」の項を参考にして、冷えない身体作りをすることが大切です。

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