症例集   「自律神経失調症」 じりつしんけいしっちょうしょう
自律神経失調症 じりつしんけいしっちょうしょう
  昔から鍼灸といえば肩こりや腰痛、神経痛やリウマチが相場でしたが、少なくとも当院では肩こりや腰痛ではなく、いわゆる自律神経失調症と言われる不定愁訴の患者さんが多くなってきています。自律神経失調症の患者さんはあちこちの病院を巡り歩き、ときには何ヶ月も入院してみたり、家族や友人には単なる怠け病だと言われたりと本人はとても辛い思いをしています。ですから初診時の患者さんはみなさん声も小さく、ぐったりした様子で来院されます。

■KFさん 42歳 女性 主婦 ご主人に付き添われて来院
 最初軽い頭痛がしていたがそのうちめまいがひどくなった。スーパーに行ってもふらふらしてしまい、ゆっくり買い物することができなくなってしまった。最近は車の運転も怖いのでどこにも出かけられない。食欲もあまりないし、夢ばかり見ておもいきり眠ったと言う気がしないとのこと。
 最初内科で軽い睡眠薬をもらっていたが、早朝に目が覚めてそれきり眠れないと言ったら少し強い睡眠薬を処方された。その薬を飲むと睡眠は深くなるような気がするが、日中身体がだるくて何もする気になれなくなった。めまいがひどくなったので、耳鼻科に行って新たな薬をもらったら今度は下痢をするようになってしまった。こうしてどんどん薬が増えることが心配で当院を勧められて来院したとのことでした。
 まず脈を診てその調整を試みました。なかなか意図する脈が得られないので、とにかく首から背中にかけての気になるツボに刺鍼し、その後全身のマッサージでその日は帰宅してもらいました。
 2回目の来院は3日後でした。少し気分は良くなったがまだ身体がだるくてめまいがするとのこと。耳鼻科の薬は止めてしまったので下痢は収まって食欲も少し戻ってきたような気がすると言われました。前回と同じように脈の調節をし(今回は前より良い脈を得ることができました)その後背中の気になるツボに刺鍼を行い、首から肩のマッサージと、頭のうっ血を取り去る治療をして終了しました。
 3回目の来院時には、かなり元気になったと感じました。本人も少し調子が良いような気がすると言われ、その後週に1度の通院を10回ほど続け、現在は自分で車を運転して隔週で通院しています。
 今では睡眠薬無しでも眠れるようになり、めまいもほとんどなくなってほんとうに元気になりました。ただちょっとしたことですぐに眠れなくなったり、下痢をしたりと相変わらず自律神経が不安定なため、しばらくの間はこのまま各週での通院を続けて欲しいと思っています。

■USさん 65歳 女性 主婦
 初診時、会話がうまくかみ合わず時間だけがどんどん経っていきました。症状について質問をしても、自分の辛さを誰も分かってくれないとか、夫も医者も大げさだというばかりでろくに話を聞いてもくれないとこぼします。心臓がどきどきして息切れがしたり、歩いていてもフワフワとなんだか足が地に着かないようで怖いと言います。布団に入ってもなかなか眠れないし、眠ったと思えば夢ばかり見て朝もなかなか起きられなくて辛い。最近は家の掃除や食事のしたくも自分ではできなくなってしまい、生きている甲斐がないと泣き出す始末です。前から血圧が少し高めで薬を飲んでいたが、今までは特に大きな病気もせずにここまで過ごしてきたとのことでした。食事が食べられなくなって1ヶ月ほど入院をして1週間ほど前に退院してきたとのことです。いろいろな薬を飲んでいて、その副作用もあるのではと思いながら治療を開始しました。
 当院では必ず脈診からスタートします。脈がなかなか触れず、全体的にエネルギーが不足していると感じました。USさんはどうしても鍼をしたくないというので、鍼をする代わりにツボを指で押して脈の調節を試みました(鍼ならもう少し良い脈が得られるとは思ったのですが仕方ありません)その後ごくごく軽いマッサージで1回目を終了しました。
その後週2回のペースで20回ほど通院していただきました。鍼ができないために通常より治癒に時間がかかったと感じています。それでも今では家のことがある程度できるようになり、若かったころの楽しい思い出などをにこにこしながら話してくださるようになりました。薬も最初は6種類ほど飲んでいましたが、今では高血圧の薬と、軽い睡眠薬だけになりました。不必要な薬は交換神経の緊張を高め、免疫力をダウンさせてしまいます。今では声に張りが出てき、ときには笑って話せるようになったことが治療者としてはうれしいかぎりです。

ストレスと付き合う10カ条
(1) 完璧主義を捨てる。
 完璧を追求すればきりがありません。最初はここまでと思っていても、どんどん追求してしまうと(満足)という結果は決して得られなくなります。
(2) 現実を直視する。
 自分にできることとできないことを理解する必要があります。使えるお金も時間も人によって違います。ほどほどの幸せを見つけましょう。
(3) 自分なりのストレス尺度を持つ。
 ○○さんはここまでできた。でも自分は…などと考えると辛くなります。ここは私は我慢できるがここは無理。ストレスを感じる部分は人によって違うと理解しましょう。
(4) 心から打ち込める趣味を持つ。
 趣味があればほんとうにいいですね。でも、趣味を持たなければとあせる必要はありません。とにかくゆっくりやっていきましょう。
(5) つらくなったら悲鳴を上げる。
 自分の身体の声に耳を澄ましましょう。「辛い」と感じられることができなければ悲鳴を上げることなどできないでしょう。
(6) 悩みを打ち明けられる心の友を持つ。
(7) 軽い運動でいい汗をかく。
 身体が辛いとついつい家から出たくなくなります。それでもどうぞ少しでも日の光を浴びてください。そしてほんの少しでも外を歩いてみてください。きっと良い気分になれるでしょう。
(8) 先入観を持って人と接しない。
(9) 解決を先に延ばさない。
(10) 「ノー」という勇気を持つ。
 この10カ条ですが、「言うは易し、行うは難し」ですね。全部でなくとも、一つでも二つでも実行できるといいですね。あっでも、どうぞ(10か条を実行しないといけないと)頑張らないでくださいね。「病は気から」と言います。しかし「気は病から」とも言えるのではないでしょうか?身体が少しでも楽になることで気分が変わり、その気分が身体に作用して良い方向に向かうことができれば、毎日がもっともっと楽しく充実した日々になることでしょう。当治療院がそんなあなたのリラックスタイムをサポートし、病気へのリスクを無くすお手伝いができればこんなうれしいことはありません。

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