症例集   「不眠症」 ふみんしょう
不眠症 ふみんしょう
 睡眠は誰もが毎日経験するとても身近な現象です。普通は特別の努力などしなくても夜になると自然に眠くなります。しかし最近この自然現象であるはずのことが自然ではなくなってきています。24時間営業のコンビニやレストラン。テレビやインターネットなど楽しいことがありすぎて眠ってなどいられないのかもしれません。いいえ、それより勤務時間が不規則になってきたことが不眠症の大きな要因でしょう。
 人間には生まれたときから自然にリズムを刻む「体内時計」が備わっています。その「体内時計」をコントロールしているのが二つの自律神経で、昼は音や光の刺激を受けて交感神経が活発になり、夜は心身を休めて睡眠をとるための副交感神経にバトンタッチされることが自然なのです。
 睡眠は大きくレム睡眠(脳は起きているときの状態に近いが体はぐったりと力が抜けている状態)とノンレム睡眠(脳が眠っている状態)の二つに分類されます。私たちがベッドに入ると最初に浅いノンレム睡眠からしだいに深いノンレム睡眠に移行し、まただんだん浅いノンレム睡眠になりレム睡眠が訪れます。ノンレム睡眠とレム睡眠はだいたい90分サイクルで繰り返され、一晩のうちにこの周期を4から5回繰り返して朝を迎えます。眠気を決める要素は、脳の疲れと体内時計の信号の二つです。

■ATさん 35歳 男性 会社員
 最近寝つきが悪く、やっと眠りについてもちょくちょく目が覚める。一応軽い睡眠薬をもらってはいるが、できれば薬を使いたくないとのことで来院。仕事は1日中パソコンに向かっている。帰宅は10時過ぎることも多く、そういう日は疲れているはずなのによけい寝つきが悪くなる。
 ATさんの場合なかなか夜のモードにシフトできず、いつまでも交感神経の興奮状態が続いてしまっていると考えられます。まずは脈診で自律神経のバランスをとることから始めました。なかなか良い脈が得られなかったのですが、丁寧に時間をかけて脈を調節してまずまずの状態までもっていきました。その後首から肩にかけての鍼、頭の鍼を行い、マッサージで首から肩にかけてのこりをほぐして終了しました。
 不眠症の患者さんの場合、たいていはその日から寝つきがよくなります。ATさんの場合もその日から眠れるようになったとのこと。週1回の治療を数回続けた後、2週に1度の通院に切り替え、現在は月に1度来院しておられます。

■USさん 女性 45歳 看護師
 勤務時間が不規則なせいかかなり前から不眠に悩んでいた。眠れないときには軽い睡眠薬を使用しているが、最近薬を飲んでも寝つきが悪かったり、朝早く目が覚めるようになった。そのせいか勤務中に強い眠気と疲労感があるようになり、深夜勤務のときなど辛いと思うとのこと。
 看護師の場合、勤務時間が昼だったり夜だったりと自律神経を乱してしまうことにもなりかねません。いわゆる時差ぼけのような状態になっていると考えられます。勤務時間が昼なら昼。夜なら夜とずっと続けばいいのですが、しょっちゅう交代する場合、時差ぼけが解消するころには新たな勤務時間にシフトしてしまい、常に時差ぼけになってしまうわけです。気がつくと自律神経が乱れっぱなしということになります。
 やはり脈診で自律神経の乱れを解消する鍼を行いました。その後首から肩にかけての鍼とマッサージを行い、USさんには自宅での施灸の指示をして1回目の治療を終了しました。
 その後最初は1週間に2回来院していただき、少し筒来院の感覚を広げ、現在は月に1度来院していただいております。眠れないときには軽い睡眠薬を使用していますが、仕事中の眠気やだるさはほとんどなくなったと喜んでいました。

■不眠症の予防
 まず、生活習慣を見直します。できるだけ決まった時間に就寝するように心がけましょう。また、週末などに日頃の疲れをとろうとして昼まで寝てしまうと、結局睡眠リズムを崩してしまう原因になるので、朝寝坊はほどほどにして、軽い昼寝をして日ごろの疲れをとるようにしましょう。
 次に、「睡眠のゴールデンタイム」というのをご存知ですか?これは、午後10時から午前3時ごろまでの時間帯のことで、脳細胞の休息・発育にとってとても重要な時間帯です。美容、老化防止、疲労回復のためにも、早寝早起きの習慣が大切です。

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