ここが知りたい健康情報   「疲労とその対策」 ひろう 
疲労とその対策 ひろう 

 疲労は身体が発する重要な信号です。疲れたら休む。疲れたら眠る。それを促すためのアラームといえるでしょう。私たち生き物が活動すると活性酸素が生まれます。それを消去しきれずにさび付いていく状態が疲労です。私たちは 頭を使うときも、体を使うときも酸素を必要とします。、酸素がなければ細胞はエネルギーを生み出すことはできません。
 この過程で生じるのが活性酸素なのです。オーバーワークになると当然酸素を消費するため、活性酸素の量もぐーんと増えることになります。活性酸素はフリーラジカルともいわれ、細胞を傷つけてしまい、その結果として体や脳のパフォーマンスが低下することで疲れを感じます。私たちが疲れを感じると、自律神経が疲労感を和らげようと活動し始めます。運動をすると手足に血液を送るべく呼吸や脈拍が速くなり、体温も上がります。ここに関わっているのが交感神経です。ほどほどのところで休憩をとることができれば副交感神経が優位になって自律神経のバランスがとれます。しかしオーバーワークになることで自律神経も疲れてしまい交感神経も副交感神経も機能が落ちてしまうのです。

■疲れの直接の原因となる物質「FF」
 疲れのもとである活性酸素が細胞を錆びさせた際、酸化した細胞から出る老廃物の一種から誘発される物質があります。それが、疲労因子FF(ファティーグ・ファクター)です。疲労因子FFの存在が明らかになったのは、2008年のことです。国際疲労学会において、東京慈恵会医科大学ウィルス学講座の近藤一博教授によって報告されました。実験で、徹夜や激しい運動をさせたマウスの臓器を調べた結果、あるタンパク質が通常の3〜5倍、肝臓や心臓にいたっては10倍もの量が検出されたのです。このタンパク質こそ疲労因子「FF」だったのです。さらに、疲労因子「FF」を元気なマウスに投与したところ、くるくると小気味よく車輪を回していたマウスが、徐々に運動をしなくなり、疲れて動けなくなったというのです。実験により示唆されたのは、疲労因子「FF」は疲れをおこしてしまう直接の原因であること、そして疲れている状態とは、体に疲労因子「FF」がたくさん増えた状態であること、というものでした。
「FF」で疲れが測定できる
 この発見は、画期的なものでした。なぜなら、今まではあいまいな点が多かった「疲れ」そのものを、客観的に測定できるようになるからです。疲労因子FFは、疲れると血液中にも増えていきます。それを利用すれば、血液を採取してその量をチェックし、通常時と比べることで、自分がどれくらい疲れているかがリアルタイムで判別できるようになりました。
 疲労感と実際の疲労は別物です。同じ作業をしても結果を出すことができたときには気分が良いと感じられますが、結果を出すことができないときには疲労感を感じてしまいます。しかし同じ作業をしたのです。頭も体も同じように疲れているはずです。当然活性酸素も大量に生み出されていることでしょう。「疲労」そのものを数値化することによりオーバーワークになることを防ぐことで、うつ病や過労死などの労働問題の解決に繋がることでしょう。

■疲労回復物質FR
 それでは運動などで疲労を感じたとき私たちの体内ではどのようなことが起きているのでしょうか?体内では、FFの出現に伴って、このFFの働きを抑制し、傷ついた細胞を修復する疲労回復物質「FR(ファティーグ・リカバリー・ファクター)」が出現するのです。これは、身体に、疲労をしたら疲労を回復しようという仕組みが備わっているからです。ですから、体内のFRが多ければ、疲労回復も速やかにできることになります。しかし、この疲労回復物質FRは、加齢によっても減少してしまうといわれています。
・イミダペプチド
 イミダペプチドは、遠洋魚や渡り鳥が長時間休みなく、驚くべき遠距離を移動できるほどの持続力に関与していて、疲労から身を守ることに大きな役割を果たしています。イミダペプチドは、この抗疲労効果が科学的に実証された初めての成分です。つまり、疲労予防効果と、疲労を速やかに回復する効果があるわけです。その他イミダペプチドには肝障害に対する効果があることや、胃粘膜を保護する効果があることもわかってきています。イミダペプチドを含む食品やサプリメントを進んで摂ることにより、成分中の抗酸化作用と疲労回復物質FRをつくる働きによって、疲労回復効果が高まるとともに、疲労しにくい体作りもできると考えられています。
 イミダペプチド(イミダゾールジペプチドの略称)は、人や動物の骨格筋などに存在している成分で、渡り鳥の胸肉や、かつおやマグロの尾の筋肉に豊富に含まれています。長時間、肉体や頭脳を酷使する環境や人間関係のストレスなどにより、疲労の蓄積から病気をひきおこしかねない現代人にとって、イミダペプチド成分が力強い味方になってくれることは間違いない事実です。。
・身近な食品から摂れるイミダペプチド
 イミダペプチドは、渡り鳥や大型回遊魚の筋肉など、エネルギーを激しく消耗する部分に多く含まれている成分です。身近に手に入る食材の中で、イミダペプチドが豊富に含まれる食品は鶏胸肉です。60g〜100gに対して約400mg含まれているとのこと、200mg〜400mgが1日の摂取目安ですので、1日約100g鶏胸肉を食べれば量的には十分ということになりそうです。他に含有量が多いものとしては、カジキにはなんと100gあたり2,000mg。鶏胸肉の5倍ものイミダペプチドが含まれているそうです。

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