ここが知りたい健康情報   「便秘part2」 べんぴ2
便秘part2 べんぴ2
 2004年の3月のコラムでは、便秘の種類や原因、その治療法について書いてみました。この項では、便秘により引き起こされる病気や、腸内環境について述べることにします。
 通常口から入った食物は9〜12時間掛けて直腸に達して便として肛門から排泄されます。しかし便秘になると食べ物の残留物がいつまでも大腸の中に留まってしまい腐敗してしまうのです。便秘はようするに腸内汚染です。あなたがどれほどお化粧をして素敵な洋服やブランドのバッグを持っていても、あなたの腸内は未消化の食物や老廃物、有害細菌で汚染されているのです。腸内の温度は37度以上ですから、それらはどんどん腐敗してしまい、硫化水素やアンモニア、各種のアミン類やスカトールなどの毒素や有害ガスが多量に作り出されます。腸内で作り出されたこれらの有害物質は肝臓で解毒されるわけですが、便秘が慢性化すると肝臓に負担がかかり解毒しきれなくなってしまいます。そうなるとそれらの有害物質は全身に回るのです。血液は有害物質で汚染され、血管や皮膚、あらゆる臓器の機能が低下し、新陳代謝がうまく行われなくなってしまうのです。ここまで読んだだけでもなんだか怖くなってしまいますね。

■便秘は腸内細菌のバランスを崩します
 私たちの腸内にはやく300種類100兆個の細菌が存在していて、有用菌(ラクトバチルス菌やビフィダス菌などの乳酸菌類である善玉菌)、有害菌(大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌)、日和見菌の3種類で、約1kgの重さがあり「第三の臓器」と言われるほど重要な役割を担っています。日和見菌は腸内環境が悪化すると悪玉菌に、腸内環境が良好だと善玉菌にと変化します。
 便秘によって腸内細菌のバランスが崩れるとさまざまな病気が起こります。脳卒中・ガン・ 高血圧・心臓病などの臓器障害、肌荒れ・じんましん・吹き出物・ニキビなどの皮膚障害、腎炎・大腸炎・インフルエンザなどの感染症、頭痛・めまい・自立神経障害などの体調不良に陥るのです。

■腸内細菌と栄養の吸収
 私たちは口から摂った栄養分を腸で消化吸収し、酸素とともに血流に乗せて60兆個の細胞を養っています。しかし、普通たんぱく質や炭水化物や脂肪、その他の栄養成分は分子が大きいために無駄なく吸収することができません。これらをブドウ糖やアミノ酸などの吸収しやすい分子にまで分解するのが消化酵素と腸内細菌なのです。ようするに消化酵素と善玉菌が協力して私たちを養っているのです。 「腸内細菌叢」のバランスが悪く、善玉菌が少なかったり、腸内細菌が元気でない人は、全ての成分を低分子に分解しきれずに、たくさんの良い成分をそのまま糞便として捨ててしまっているということになります。高い健康食品を摂っても腸内細菌が元気でなければ無意味だということです。

■腸管免疫
 腸管免疫系はからだの中で最も大きな免疫装置です。免疫系というのは、人体にとって安全なものはきちんと取り入れ、人体にとって有害と判断されるものとは戦って排除するという合理的ですばらしい仕組みのことです。
免疫系は病原菌に対して抗体というたんぱく質を、病原ウイルスに対してはキラーT細胞という細胞を使って攻撃し排除します。また、体内で発生したがん細胞に対してはNK(ナチュラルキラー)細胞などを動員して攻撃し排除します。
 腸管免疫系には大きな特徴があります。私たちは食事をすることで食物とともにいろいろな病原菌も口から取り入れてしまいます。胃酸によりかなりの病原菌は死滅しますが、身体に有用な食物とともに病原菌やその他の良くない物質も腸まで達してしまうことがあります。もし病原菌が侵入した場合にはIgAが産生されて防御し、食品など安全なものが認識された場合は、経口免疫寛容という免疫抑制作用が働くことで過剰な免疫反応が起きないようになっているのです。なんと賢い仕組みでしょう。
 最近問題になっている アレルギーは免疫反応が過敏になったときに起きる疾病です。腸内細菌と免疫・アレルギーには密接な関係があると考えられています。ラクトバチルス菌が多い子供にはアレルギーが少ないことも報告されています。

■腸の健康とセロトニン

 実は、体内で生産されるセロトニンの95%は腸で作られているのです。これに対して脳ではわずか3%しか生産されていません。セロトニンは精神活動に大きく影響しており、うつ病や神経症はセロトニンの量が減ることにより生じると考えられています。つまり腸の健康は心の病に大きく影響していることになります。

 このように見てくると腸内細菌のバランスが私たちの健康を左右するといっても過言ではありません。ありとあらゆる病気は免疫力低下が原因です。現代病といわれる心の病気も腸内環境を整えることで予防できる可能性が見えてきました。便秘を防ぐことこそあなたの健康の基本だと言っても言い過ぎではないでしょう。しかし便秘薬の常用はお勧めできません。身体に優しい便秘薬とか、子どもでも使用できる便秘薬などと盛んにCMが流されています。どんなに優しい便秘薬でも使い続けることで腸の動きはどんどん悪くなってしまうのです。水分と繊維質の多い食べ物を摂り、適度な運動をして便秘を防ぐことがあなたの健康にとってどれだけ大切なことかがお分かりいただけたと思います。

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