ここが知りたい健康情報   「アトピー性皮膚炎」
アトピー性皮膚炎

 近年、日本ではアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が増えてきました。花粉症などは今年は大丈夫でも来年はどうなるのだろうと心配している人も多いことでしょう。昔の日本や、開発途上国ではアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が少ないことから、人口密度や住宅環境、ストレスなどのさまざまな環境要因が関わっていると考えられます。子どもの1割以上がアトピー性皮膚炎に罹患しているといわれ、根本的な治療が見つけられずにいます。

■原因
アレルギー体質

アトピー性皮膚炎の人では家族内でリウマチや喘息などの他のアレルギー症状を持っている人も多く、アレルギー体質が遺伝していると考えられます。アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能に欠陥が生じ、角質層に存在するセラミドが少ないことにより外界の異物が侵入することで、炎症や痒みが増すと考えられています。

環境的要因

食物、ダニやハウスダスト、化学物質などの異物、進学や就職などのストレスも悪化させる要因になります。


■症状
痒み
アトピー性皮膚炎としての特徴をもった湿疹が左右対称に現れる。
乾燥肌
このような症状が乳児では2ヶ月以上、それ以外では6ヶ月以上反復持続する。

■アトピー性皮膚炎で痒みが起こる仕組み
皮膚の表面には角質層があり、アレルゲンが体内に侵入するのをガードしています。しかし、アトピー性皮膚炎ではバリア機能が低下し、アレルゲンが体内に入り込みやすくなります。
アレルゲンが体内に侵入すると、肥満細胞が反応してヒスタミンなどの痒みを起こす物質が作り出されます。
ヒスタミンなどの痒みを起こす物質は神経を刺激して脳が痒みを認識します。
痒みを感じてかく動作が起きると痛みのために痒みが和らいだり、痒みの神経の末端が破壊されることで痒みが止まります。
かくことで皮膚のバリア機能が破壊されることでさらにアレルゲンが入り込みやすくなります。

■治療

 アトピー性皮膚炎の治療は痒みの治療といっても過言ではありません。

薬物療法

抗ヒスタミン薬…アレルギー反応により肥満細胞から出るヒスタミンが神経に作用することを断ち切ることで痒みを抑えます。また、脳に作用して眠気を起こさせることで痒みを抑えます。その他アレルギー反応を抑えるための抗アレルギー薬、痒みで眠れない場合には睡眠導入剤や精神安定剤なども使われます。
日常生活の注意

アトピー性皮膚炎の患者さんが痒みを強く感じるときは、温熱・発汗、衣類による刺激、精神的ストレス、何らかの食べ物や飲酒、風邪などでした。
・部屋の温度や湿度を調整しましょう。
・汗をかいたらできるだけ早くタオルなどでふき取りましょう。
・肌着は刺激の少ない木綿のものを着用しましょう。
・趣味などでストレスを上手に解消しましょう。

スキンケア

皮膚の汚れを落とし、保湿することで治療効果を上げます。アトピー性皮膚炎の人の皮膚はセラミドが少ないために乾燥しやすく細胞の端がめくれ上がっています。そのためにダニなどの異物が進入しやすくアレルギー反応を引き起こしてしまいます。汗や汚れは痒みの引き金になるので、毎日ぬるめのお湯に入浴し、その後保湿クリームなどでしっかりバリアすることが大切です。なお、石鹸やシャンプーは刺激の少ないものにし、強くこすり過ぎないようにしましょう。

■ステロイド外用薬について
 ステロイド外用薬については賛否両論があります。以前は強いステロイドを使うことが多く、副作用に苦しむ人もたくさんいました。しかしステロイドは元々人間の身体で作られる副腎皮質ホルモンです。現在いろいろな治療が試されており、その中でステロイドを使うか否かについては一人ひとりが自分の身体をよく観察し、自分に合った治療法を選ぶことが必要だと思います。
 ステロイド外用薬の副作用として
 1.皮膚が萎縮して薄くなる。
 2.皮膚の赤みが増す。
 3.皮膚の感染症に罹りやすくなる。
 4.皮下の内出血が起こりやすくなる。
 5.長期間顔面に使用すると緑内障に罹りやすくなる。

■鍼治療
 アトピー性皮膚炎は全身性の病です。なぜ異常な免疫反応で自己を破壊してしまうのでしょう?本来免疫力が高いと言うことは素晴らしいことのはずです。免疫力があるからこそ人はいろいろな脅威から自らを守ることができるのです。炎症がおこるのも、熱がでるのも全て自らを守るための戦いの結果なのです。免疫は顆粒球とリンパ球とのバランスで成り立っています。そのバランスを調整しているのが自律神経(交感神経と副交感神経)です。脈診により12経絡を調整することで自律神経に働きかけ、その結果免疫が本来のバランスを取り戻し、無理なくアトピー性皮膚炎と戦う力を発揮できるのです。
 アトピー性皮膚炎治療の中で、患者さんから「鍼灸は免疫増進作用があるとのことですが、自分はアトピー性皮膚炎治療で免疫抑制剤を使っていることを考えると全く逆の治療をしていることになるのでは?」との質問を受けたことがありました。アトピー性皮膚炎は免疫が行進しているために自分を攻撃しているわけではありません。攻撃対象を間違えているのです。本来は細菌やウイルス、ガンなどと戦うべきシステムが、何らかの異常を起こして自らを攻撃してしまっていると考えるべきです。ですから、脈診により全身状態を正しく把握し、一人一人に合わせた刺激量を選択して治療することがとても大切だと考えています。
 近頃、自己免疫疾患の罹患率が増加しています。身近なものでは、花粉症が挙げられるでしょう。先にも述べましたが、免疫システムは外からきた細菌やウイルスに対して、これを排除したり、ガンなどの身体の異常に対して働くものです。しかし、免疫システムに何らかの異常があると、自分の体や組織を異物のように認識して、自己抗体をつくり、自分の体を攻撃してしまうのです。代表的なものとして、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬化症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、自己免疫溶血性貧血などがあります。
 最近では、これら自己免疫疾患に対する医師の考え方も少しずつ変わってきているように思われます。漢方を学んで治療に取り入れたり、自律神経免疫療法(福田安保理論)、抗酸化療法、温熱療法など身体全体を治療する医師も増えてきました。その中で私が今注目しているのが「自律神経免疫療法」です。
 アトピー性皮膚炎などの完治しにくい病では、怪しげな治療も数多く存在します。辛い症状に苦しんでいる患者さんにとっては、治るなら高額な治療費を支払っても試してみようと思われることでしょう。ステロイド含有の化粧品を販売して逮捕された人もいます。インターネットやチラシなどあふれる情報に踊らされて誤った療法を選択することのないようにきちんとした知識を身につけましょう。

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